JTが154円→130円に減配!
高配当銘柄で有名な日本たばこ産業<2914>が2月9日に決算発表。2020年実績では営業利益:前年比6.6%減の4691億円でしたが、2021年見込みでは営業利益:前年比22.6%減の3630億円にまで下方予想とのこと。
そして、ついに減配が・・・154円から130円に24円減配です。減収減益予想+減配ということで本日の株価終値は1990円、「−7.46%」の下落となりましたね。
この「減配」は大きな衝撃・・・というのも、タバコ業界は斜陽産業なのでいつかは「減配」があるとしても、2020年7月の第2四半期では年間配当を154円の維持と明言されていたので今期は免れるかなぁと。
調べてみたところ、やはり7月の第2四半期の決算短信に「154円維持」の記載がありました(下図)。そして、第3四半期の決算短信にはとくに配当金についての記載がありません・・・この頃から減配を意識されてたのでしょうか。
配当金130円、現在の株価1990円であれば利回りは6.53%です。JTは株主優待もありますから現状でも十分に高配当銘柄ですね。さて、今後のJTはどのような株価推移になるのでしょうか。
キャノンの「減配」と比較
今回のJT減配において、キャノン<7751>の減配が頭をよぎりました。2020年7月28日に減配した記憶が鮮明に蘇りました。 あの時も驚愕でキャノンは1991年以来、「非減配」を守ってきた企業です。
「非減配」とは配当を維持もしくは増配を続けること。キャノンは30年近くも減配したことがない訳ですが、そのような大企業ですら業績不振によって「減配」に陥ってしまいます。
JTの中間決算発表で「154円維持」とされても、柔軟に経営計画はアップデートされます。その都度、見直すものですからタバコという斜陽産業であることを念頭に、キャノンのような「減配」も覚悟しないといけませんでしたね・・・
2019年のキャノンの中間配当は80円、期末配当80円の計160円でしたが、中間40円、期末40円(発表当時は未定)の計80円に配当を半減。夜間取引において一時「−5%」くらいまで株価が下がったのです。
そんなキャノンですが「減配」発表直後は株価下落したものの、ゆっくりと株価は上がっています。1月14日に業績予想の上方修正をしており、着実に業績が回復傾向にあるようです。今後のJTの株価値動きのヒントにもなりそうです。
どんな企業でも業績が低迷すると配当金を減らすしかない=「減配」するということですね。そして、業績が回復すれば株価も配当金も回復していくことからも、業績回復が必須!とにかく業績!!
今後のJT:株価推移
減配したとはいえ配当利回り6.53%+株主優待はかなり高利回りです。しばらくは株価がもみ合うかもしれませんが、もし仮に株価が下がったとしても利回り7%、株価:1850円付近は強烈な抵抗線ができそう。
また、しばらくの減配はなさそうですのでポジティブなIRが出れば利回り6%くらいまで、株価:2160円くらいまでの回復は早いのではないでしょうか。
高利回りのおかげでこれ以上の株価下落も可能性低いですが、逆に言えば利回り6%を切るくらいの株価上昇もなかなか難しいかと。これが高配当銘柄の安心でもあり宿命でもあります。
なので、その後の推移は先述の通りで業績次第ですよね。業績回復が確認できるようであれば株価はポジティブに反応し、さらなる減配も視野にネガティブに動くでしょう。
今後のJT:経営計画
経営計画によると、将来的に利益成長に繋がるRRP(健康リスクを低減させる可能性のある製品)事業へ投資していくとのこと。そして、配当ではなく成長のための投資に変えていくとのこと。
繰り返しになりますが、まずは業績回復が最優先!そのためにも減配した訳です。株主へ「配当金」で還元するのではなく、企業成長のために投資して業績を向上させ、「株価」で結果を出すということですね。
具体的にはJT九州工場や田川工場を2022年3月末に廃止、JT社員1000人の希望退職、パート1600人規模、シニア150人規模の人員削減を掲げていました。今後の収益改善に繋がると予想されます。
また、人員削減するだけではなくジュネーブに本社機能を移転させることで世界的な視野で業績を上げる構えです。統一化することで海外展開に注力したいところでしょうね。
今後のJT:まとめ
個人的には経営計画2021はとても好感のもてる内容でした。しかし斜陽産業ということもあって業績の回復には時間がかかりそうです。さらに業績悪化に影響を与えかねない要因もあります。
例えば、増税問題です。新型コロナウィルスの経済対策が重しとなり、政府が増税に乗り出すと思いますがおそらくタバコ税の増税もあるでしょう。であれば国内のたばこ利用は減少する可能性があります。
また、フィリップ・モリス製のIQOS(アイコス)や ブリティッシュ・アメリカン製のglo(グロー)など電子タバコ業界はライバルが多く競争が激化しています。JTがどのように優位性を確立してシェアを拡大していくかが鍵となりそうです。
そして、そろそろたばこ産業からの離脱も検討していった方が良いのではないでしょうか。2015年、アメリカンスプリットを6000憶円で大型買収を試みたものの成果が出ているとは言えません。他の事業に投じた方が良かったような…
昨年から、JTの医薬事業においてアトピー性皮膚炎に効果があるコレクチム軟膏の製造をしています。世界初の非ステロイド剤で、有効成分デルゴシチニブが好評とのこと。タバコだけでなく、まだまだJTは他の分野で伸びしろがあると思います。
この右肩下がりの業績に終止符を打つべく、新生JTの健闘を祈りたいところ。そうすれば、今の株価も底値となり業績がV字回復をしていけば株価上昇も期待できるでしょう。
今のままの流れを繰り返すようでは業績不振は継続、そして再度「減配」・・・と悪循環に陥るだけです。何かしら成長分野を見出せば、一気に業績が戻りそうですね。※投資は自己責任でお願いします!