悲惨、国内史上最悪の大量殺人事件
とても悲しい地獄のような惨事が起きました。7月18日、京都アニメーションが放火され現時点で33人の従業員の方が犠牲となりました。放火したとされる41歳の男は複数火傷の状態で逮捕。犯人が生き残り、罪のない大勢の方が犠牲となる事件。あまりに残念でなりません、ご冥福をお祈りいたします。
動機はまだわかっておらず、恨みによる犯行なのではないかと推測されています。しかし、どのような動機があったとしてもこのような行為は絶対に許されません。犯人に対して強い憤りと憎しみを感じます。
実は、数年前から京都アニメーションに対する作品批判や、従業員への殺害予告など相次いでいたようで、会社側も警察に被害届を出したり弁護士に相談するなど対応しておりましたが、今回の惨事を未然に防ぐことはできませんでした。
戦後最悪と言われた2016年相模原障害施設殺傷事件の死者数19人をはるかに超え、1938年の30人が犠牲となった津山事件をこえる大量殺人事件となってしまい、今回の事件は国内最大の被害者が発生する事件となってしまいました…
消防庁災害対策室の発表によると犯行に使用されたのはガソリン40ℓとのことで、非常に揮発性の高い燃料ですから爆発とともに犯人も大火傷を負い、その後建物内の燃えやすいものに引火して火災が発生したようです。犯人の言動が異常者としか言い様がありません。
心は京アニと共に。世界から愛される京都アニメーション
今回の事件を受け、世界が動いています。中国のweiboでも、今回の事件を悲しむ投稿が多数投稿され、京都アニメーションを義援金を募るクラウドファンディングが立ち上げられ募金開始から6時間で3400万円の寄付が集まるなどしております。
Key作品の代表作であるAIRやKanon、CLANNAD、涼宮ハルヒの憂鬱、らき☆すた、けいおん、Free!など数々の名作を世に送り続けた京都アニメーション。美しい映像、綺麗な作画、丁寧なイラストデザイン、面白い脚本、心地よい音楽センス、視覚と聴覚に働きかける演出や組み合わせが素晴らしく本当に見事です。
AIRは、2005年のアニメで京アニ初期作品です。初期とは思えない音楽と映像の融合は心に響くものがあり、原作がアドベンチャーゲームとのことで、コマンド選択肢によって話が変わるシステムのため再現が困難だったかと思いますが、ストーリー展開もまとまっていました。
協力した作品は他にもスタジオジブリ作品、名探偵コナン、クレヨンしんちゃんなどのアニメ映画にも参加しており、そういった経緯で人材育成や作画・映像技術が培っていったものと考えられます。外注しないで自社完結で作品を生み出すクオリティの高さが最大の魅力でした。
日本から世界へ。アニメ界に改革をもたらしたパイオニアである京都アニメーション
とくに、京都アニメーションを世に知らしめた作品として名高い作品が「涼宮ハルヒの憂鬱」であり、アニメ業界に斬新なアイディアと改革をもたらす挑戦者&先駆者でした。
「涼宮ハルヒの憂鬱」は何が革新的ですごかったのか改めて説明しますと、1つ目は先述した通りで外注しないで一社で完結させる美しい作画イラストや絵画です。
こちらのハルヒ達が文化祭でギターを演奏する動画では、実際のギター演奏の指使いを忠実に再現しており、当時、京アニの作画デザイン力が話題となりました。2006年の技術とは思えないほどのクオリティです。従業員の努力と妥協しない挑戦魂を強く感じます。
脚本も斬新な工夫が施されているのです。2006年に放送されたアニメ一期では、①敢えて話の順番をバラバラに放送して時系列をランダムにした演出方法です。
最初のアニメ第一週目では、第11話目を放送し、二週目では1話を放送したのです。その後もランダムに展開していきました。
2006年「涼宮ハルヒの憂鬱」
第一話 時系列でいう11話
第二話 時系列でいう1話
第三話 時系列でいう2話
第四話 時系列でいう7話
第五話 時系列でいう3話
第六話 時系列でいう9話
第七話 時系列でいう8話
第八話 時系列でいう10話
…こういった感じです。時系列の順番で見ることで、もちろん話が綺麗に繋がるのですが、リアルタイムで見ていても違和感に感じない点が巧みでした。そして一期が終了して見返したときに時系列が存在していたことに驚愕を受けるのです。
主人公視点で、世界がハチャメチャに振り回されている疑似体験を堪能できるようにしかけられた内容でした。 これは原作小説である「涼宮ハルヒの憂鬱」について忠実に再現しようとしたためであり、順番通りに続きものとしてアニメを放送しない手法は、リアルタイムで見ていた視聴者を圧巻させ社会現象を生み出しました。
2009年「涼宮ハルヒの憂鬱 2期」では、 第12話~第19話の8話にわたって、②毎週同じ話を放送しました。先週とまったく同じ話が流れるため視聴者は困惑しますね。ところが毎週同じエピソードなので、同じ動画を放送していると思いきや、作画も脚本も音声も毎回作り直していたこだわりよう。なので、同じ話ではあるものの微妙に雰囲気が異なるんですよね。
なぜ、そのような演出をしたのか、ネタバレになるのでここから白文字で理由を記載しておきます。ネタバレを読みたくない方はそのまま下へスクロールください。
主人公のハルヒが「このまま夏休みが終わって欲しくない!」と夏休みの最終日に願ったために、世界が何度も夏休みの初めにリセットしてしまいループしていたのです。そのループを体感してもらうために毎週まったく同じ内容のストーリーを放送しました。しかし、ループとはいってもパラレルワールド的に微妙に変化した世界をループしているため、毎回脚本や作画、音声を作り直していたのです。
作品を愛する「京アニ」だからこそ達成できたもの
このように、賛否両論がうまれそうな事柄に対して果敢に挑戦し、アニメ界を盛り上げていったのが京都アニメーションです。すべてはアニメ界の改革、成長であり、そのためには多数の障壁や批判もあります。それを乗り越えてここまできました。
今までにない演出を手掛け、丁寧に自社で作画を作り上げる、そして目的を果たすために作品作りに妥協しない。外注すればもっと簡単にコスト削減して納期も早く作品を完成することができますが、その方法はとらない。
そこには京アニが作品を大切に大切に想う「作品愛」があります。想像を超えるスタッフの努力とチームワークです。だからこそ、作品愛が全世界に浸透し世界から愛されるのです。
そんな私も、京アニ作品に魅了されている一人です。となりのトトロや天空の城ラピュタ、千と千尋の神隠しなどジブリ作品が「安堵感」や「癒し」を提供してくれるアニメ作品であれば、京アニ作品は「刺激や感動」「新感覚」を提供してくれるアニメ作品です。
ハルヒでは実際に存在する兵庫県のカフェをアニメで登場させたり、けいおんの舞台となった滋賀県にある旧豊郷小学校、らき☆すたでは清水寺を舞台にするなど「聖地巡礼」ブームの火付け役にもなりました。
今回の事件で、33人の尊い命が犠牲となってしまい、悲しくいたたまれない思いです。優秀なスタッフが亡くなり、怪我をされた方も数十人ほどいますから 京都アニメーションはしばらく作品を制作することができない状況で非常に残念過ぎます。
今回のニュースで、何度も京都アニメーションスタジオ建物が火災を受けている映像を見て、心にぽっかり穴が空いた悲しさがありました。今まで当たり前と感じていたことが、急になくなることで改めて思い出す「大切さ」と「尊さ」という感覚に陥っております。
京アニスタッフ従業員、皆様のおかげで素晴らしいアニメ作品に出会うことができたのです。いつも本当にありがとうございます。感謝と共に、今は大変な時期かと思いますが、またいつか京都アニメーションの作品に出会えたらと思います。