目に見える脅威、大量のバッタが発生!
目に見えない脅威として、コロナウイルスが猛威を振るっています。4月30日現在、アメリカだけでもコロナウイルス感染者は100万人、死者は5万8000人とされ、全世界では300万人の感染者が出ています。
経済への打撃も深刻です。アメリカでは2000万人の失業者を出し、国内でもGWにも関わらず、飛行機やJRといった利用者数は前年比99%以上減ということで当然ながら生活にも支障が出てきてますからリーマンショックを越えております。
そんな中、エチオピア、ソマリア、ケニアで大量発生したバッタが大繁殖して食糧危機を引き起こす大変な事態が生じています。すでに甚大な被害をもたらしており、現在ケニア・エチオピア付近で2000万人くらいの食糧が食い尽くされてしまい、パキスタンの一部地域でも収穫高の4割が被害にあい、ソマリア政府は国家非常事態宣言を余儀なくされました。
その名もサバクトビバッタ。FAO(国連食糧農業機関)は、このバッタの大群が4月ごろには4000憶匹に膨れ上がり、さらに6月ごろには繁殖で200兆匹になる見込み、 中国に本格的に襲来してくると警告しています。
ちなみに200兆匹のバッタを並べてみると、日本列島6つ分の面積に相当するそうです!!
中国では初の条例が施行
中国でも農作物病虫害の防除に特化した初の条例を5月1日より施行します。実は3月ごろから、ベトナム、ミャンマー、ラオスなどを接する25の国境都市に110以上の観測拠点を設けたり、薬剤噴霧、ドローンを用いた空中での薬剤散布など以前から侵入想定演習を始めていて、警戒態勢を強化しています。
このように中国の動きや対策が手際良いのは、バッタが作物を食い荒らす「
蝗害 (こうがい)」)が干ばつや水害と共に三大災害とされ恐れられていた歴史的背景があります。かつてはバッタがもたらした食糧飢饉により王朝が崩壊したこともありました。
バッタに対して中国政府はアヒル軍10万羽で向かい打つなどの噂話も出ており、過去には2000年にウイグル自治区においてアヒル軍の配備を講じたこともあるそうです。アヒルは1日あたり200匹のバッタを食べる「生物兵器」となるために農薬よりも効果があるのだそうです。 はたして、今回はアヒル軍が登場するのでしょうか。
サバクトビバッタは中国に侵入するのか?
中国政府は農作物病虫害関連の条例を施行する一方、サバクトビバッタに関してはヒマラヤ山脈が壁となり遮ることから、侵入は困難と考えているようです。
もともとバッタは高地が苦手で現在、インドとパキスタンで被害を出しているサバクトビバッタですが、インドと中国の間にはヒマラヤ山脈が「高地」としての役割となるそうです。
また、バッタはジャングル地帯も苦手であるといわれています。現にバッタは中央アフリカのジャングル地帯には行きません。南のインド、バングラデシュとミャンマーの間もジャングル地帯となっていることから、中国への侵入が困難であるとも考えられます。
では、中国政府のバッタに対する条例施行や対策演習は何を意味するのでしょうか?
実は、本来中国政府が恐れているバッタはサバクトビバッタではありません。歴史上、トノサマバッタなのです。それ以外にもツマジロクサヨトウが100万ヘクタールに発生し、2019年10月には16万ヘクタールが深刻な被害を受けるなど、他の昆虫被害が拡大していることも併せて、サバクトビバッタの侵入も含めての演習と言うことになります。
なので、サバクトビバッタの侵入や被害は少ないものの、トノサマバッタやツマジロクサヨトウなどの他の昆虫が被害をもたらすのではないかと考えます。
バッタの被害は日本でも?バッタは日本に来るのか
結論から言うとバッタが日本に来る可能性はあります。海を渡れないと言い切っている方もいますが、可能性は低いとしても完全に否定はできません。以下で説明していきます。
仮に中国にサバクトビバッタが押し寄せてきたとしましょう。日本海を渡って日本に上陸する可能性はありえるでしょうか?
中国上海から日本までの最短距離でも800㎞ほどですが、バッタが1日で渡れる距離は150㎞です。なので物理的には海を渡ることは不可能とされています。
中国から直接800㎞を渡って日本に上陸するのは難しいかもしれません。 ところが 、現にサバクトビバッタはアフリカから紅海を渡ってサウジアラビア、イラン、パキスタン、インドと侵入してきました。
まず、中国から日本ではなく、間に韓国を介するルートを考えます。
もし、中国から黄海を渡って韓国に渡るルートでしたら侵入の余地はありそうです。紅海を渡ったのであればその可能性も高いです。
海を渡れた理由として、大量のバッタの死骸が島を作り、そこで休憩して飛び立ち長距離を移動したという説です。 また、中国から陸続きで北朝鮮、韓国の方に侵入するルートも想定されます。
韓国の釜山から福岡は最短距離で209㎞ほど。さらに韓国と福岡の間には対馬がありますから、そこでバッタが休憩するとしたらあながち渡れないこともないと考えられます。何が起こるのかが分からない状況です。
いずれにせよ、日本には来なかったとしてもサバクトビバッタが中国に押し寄せた時点でトノサマバッタ、ツマジロクサヨトウ併せて中国には甚大な被害がもたらされます。もちろん、中国から農作物を輸入している日本の被害も例外ではありません。
バッタは海を渡れないという意見を唱える方が多いですが、現に紅海を渡るなど説明がつかない事態が起きている訳です。そして、中国に辿り着いた時点で日本経済にも影響を与えるのは間違いないでしょう。
コロナウイルスとの闘いだけでなく、バッタとの闘いも念頭に日本政府も対策が必要になる時が来るかもしれません。