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日韓経済戦争が開始?優遇措置(ホワイト国)の仕組みと正確な理解についてわかりやすく説明

投稿日:2019年7月4日 更新日:

  

G20大阪サミットで日韓首脳会議が行われることもなく、安倍首相とムンジェイン大統領の8秒間の握手もぎこちなく、お互いあまり会話をしない距離感から日韓関係の冷え込みが浮き彫りとなりました。

  

水面下では2019年1月より安倍総理が韓国に対する報復措置を進めており、3月には対抗措置として100近くのリストができている段階で、G20後に日本は韓国に対して「輸出運用見直し」を発表したのです。具体的には優遇措置(ホワイト国)から韓国を除外することについて見直すというものでした。

 

ところが海外の報道を見てますと、腑に落ちない点があります。

アメリカのブルームバーグ通信は「中国に貿易戦争を仕掛けたトランプを真似て日本が追随している」、イギリスのフィナンシャルタイムズは「自由貿易に対する日本の偽善が明らかになった」など、厳しい見解を示されており、かなり誤解を招いている内容なのではと思いましたので、正しい理解を促したいと思います。

  

さて、その前にホワイト国とは何でしょうか。日本政府が安全保障上で友好国として認めた場合、日本からの輸出手続きを簡素化するなど優遇措置を与えている国のことです。「相互の信頼関係」により成り立つものです。

  

2002年よりホワイト国制度が始まり、アメリカ・カナダ・アルゼンチン・イギリス・フランス・オーストラリア・ニュージーランド・オランダ・スイス・オーストリアなど計27か国です。

  

韓国は2004年に追加され、実をいうと今までホワイト国から除外された国はありません。ここまで聞くと、優遇措置からの除外は、徴用工問題や自衛隊機へのレーダー照射問題など、韓国に厳しい報復をしているかのように見えます。

  

ところが、日本政府はインドネシア・タイ・マレーシアといった国々に優遇措置を与えず通常措置でやり取りをしております。かといって、友好関係がまったくない訳ではありません。また、8か国で成り立つEUもホワイト国に韓国を含めておらず優遇しておりませんでした。通常レベルで輸出許可をしていた訳です。

  

つまり、「規制」と表現すると厳しく対処しているように感じますが、韓国が日本からの優遇措置から外れたとしても、タイやマレーシアなど他の国々と平等に普通レベルで輸出許可を与えられる訳です。

  

優遇措置から外られることで韓国はある程度の打撃を受けるでしょうし、厳しい対応になってしまうのは事実ですが、だからといって諸外国では当たり前にように行われた輸出許可措置であります。

正当性のある見直し、手段に応じる根拠があるため偽善ではない

  

「規制」ではなく「輸出運用見直し」と言及しているのは、日本政府としては、トランプ大統領のような「いきなり」ではなく、ゆっくり遠回しながらも着実に世界に周知させていく配慮からでしょう。その辺は、まったくトランプ流とは異なります。

  

現に日本政府は韓国に対して輸出規制を開始するとは言い切っていないのです。7月1日の発表ではあくまで、大韓民国に関する輸出管理上のカテゴリーの「見直し」という文面に留まっております。そして、輸出禁止のような厳しい内容でもなく輸出の手間を長くするだけのことです。

  

優遇措置の内容はシンプルで、日本企業が韓国企業へ輸出する場合、日本政府より審査を受け輸出許可を取得すると、3年間は審査不要で韓国企業へ輸出ができるというものです。

  

今回の措置が発動すれは、まず審査を受けるのに90日間の日数がかかることとなり、不許可の可能性も出てくることになります。そして、一つ一つの輸出ごとに日本政府が判断するのです。

  

例えば、今まではビザなしでも入ることができたのに、措置により今後はビザがないと入管することができないようになってしまう…こんな状況と似ていますよね。

  

もともと、輸出制限に対して厳しい審査があるのは必然的であり、どの国であれ、一つ一つの輸出内容を審査するのは当然のことです。日韓の信頼関係が崩れた以上、相互の信頼関係が成り立っていないので、優遇措置から通常措置に見直されるのは筋が通っているのです。

  

韓国は今回の日本の措置についてWTOに提訴するとしておりますが、日本としては通常の措置に切り替えるだけの話であり、韓国に対して不平等な条件で扱うことはしません。他の国と同様に通常の輸出措置をするだけのことであり、信頼関係の回復が望めないので「優遇」から外したのです。

  

また、今年1月には安倍総理が「国際法に基づき毅然とした対応を取るため、具体的な措置の検討を関係省庁に指示した」ことや、3月には麻生財務大臣も「関税に限らず送金の停止、ビザの発給とかいろんな報復措置があろうかと思う」と発言してきていました。徐々に警告してきており、黙って突然のことでも、いきなりではないのです。

  

常に日本は水面下で動いていることを韓国側にほのめかしており、いきなり中国に対して関税を25%上げようとしたトランプ大統領の件や、レアアースの供給を止めようとした中国の件とはまったく状況が異なるのです。

  

何度も示唆していたにも関わらず、それでも韓国は対応しようとしませんでした。そしてG20を1つの期限と考えていたのでしょう、韓国側から何の反応もなかったためにG20後に日本は動いたのです。

  

事前に韓国側に警告をし続け、それでも反応がないため日本政府かカードを切りました。しかも、その切ったカードも関税アップやビザ発行・送金の停止、輸出制限といった重いものではなく、優遇措置から普通の通常措置へ移行というものでした。

    

このような配慮がありながらも、各海外メディアが報道している内容は少し解釈が違うような気が致します。徴用工問題で日本の民間企業が巻き込まれたり、自衛隊機へのレーダー照射問題で論点のすり替えを繰り返した韓国に対して、WTO違反にならないか、自由貿易違反しないか、十分に検討したうえで日本政府が動いたのです。

  

具体的にはどのような措置がくだされる?

7月4日より、フッ化ポリイミド・レジスト・フッ化水素の3品目が優遇措置から除外されることとなりました。輸出に対しての許可するかどうかは日本側の判断となります。

  

フッ化ポリイミドはスマートフォンやパソコンなどの液晶ディスプレイに使用されている化学物質です。レジストは半導体の製造の際、回路を保護する膜のような働きをもちます。半導体に不可欠な3品目を指定したのです。

 

とはいっても、これらの技術は世界でも韓国を含めて他の国にある訳ですが、なぜ日本はこの3品目を選んだのでしょうか。そして、韓国に打撃はあるのでしょうか?実は韓国にとってかなり痛手となる事情があるようで、その辺の詳細については次回詳しく解説致します。

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