正露丸の大幸薬品!
ラッパのマークでお馴染みの正露丸は100年以上前から愛されている胃腸薬・下痢止め薬です。大幸薬品〈4574〉の医薬品事業として業績を支える大きな柱でした。
正露丸は、見た目のどす黒さ、強めの匂いと独特な苦みがあり、私としては「いかにも薬!」という感覚で愛用していました。味覚や嗅覚からもプラセボ効果がありそうな!笑
ただ、その見た目や匂い・苦みが時代と共に変化して商品ラインナップも増えていくことに。たしかに私のように「苦み・匂い・色」に抵抗でない人もいれば、女性や若年層にはあまり評判が良くないのかもしれませんね。
そこで1981年、正露丸の姉妹商品として登場したのが「セイロガン糖衣A」です。植物由来の生薬が胃腸に働きかけ・下痢に効果を出す「正露丸の特徴」を継承しつつも、匂いを気にせずに飲むことができます。
また2017年には新製品として「正露丸クイックC」を発表、従来の正露丸よりさらに飲みやすく即効性を高めました。その理由は液体カプセルを採用したこと。
このカプセルは崩壊性に優れていて飲んでから4分くらいで液体が出始めます。今までの丸剤より飲みやすくて、しかも即効性を追求した商品なのです。
このように大幸薬品を代表する「正露丸」は市場の需要を進化していきました。しかし正露丸のヘビーユーザーは高齢者が多く、若年層の正露丸利用者は少ないそうで、国内市場は100億円前後で停滞していました。
クレベリンでコロナ対策銘柄に!
正露丸の販売が右肩下がりとなり、大幸薬品は医薬品事業だけでなく、もう一つの収益柱が必要であるとして感染管理事業を立ち上げます。
衛生管理製品として誕生したのが「クレベリン」です。二酸化塩素分子に着目した製品で2005年より販売開始しました。2009年には新型インフルエンザが大流行してクレベリンの需要が高まることになります。
2014年には、消費者庁から「ウイルス除去等の表示について裏付けとなる合理的な根拠が乏しい」と措置命令を受けたこともあります。目に見えないウイルスに対して効果を証明するのは難しく、例えば窓を開けた部屋など環境の変化で効果が半減しますからね。
そんなクレベリンが2020年に転機を迎えます。新型コロナウィルスにも効果が期待されるとして、小売店ではクレベリン関連の商品が品薄に。これを受けて大幸薬品の株価も上昇しました!
新型コロナウィルスの影響で、衛生管理面の意識が高まっていますからね。
クレベリンには商品展開があり、「クレベリン置き型」「クレベリンスティック」「クレベリン&アンド」シリーズが展開されています。
クレベリンスティックが「携帯できる衛生管理」がコンセプトで、アクセサリー感覚で着けやすく、通勤や通学にも使えるアイテムです。衛生対策をより身近に感じることができるようになりました。
「クレベリン&アンド」においては、抗ウイルス加工、抗菌防臭加工を施した不織布マスク「ウイルスプロテクトマスク」を発売開始。「ウイルス・除菌シート」も発売しています。
とくに「クレベリン置き型」には力を入れていて、デザイン性が高い商品も展開しています。ベアブリックさんとのコラボは多数で、スターウォーズ・ディズニーなど多彩です。インテリアとしても優秀。
「クレベリン置き型」の新たな生産拠点として大阪の茨城新工場が2020年11月に稼働、最大で前年比に対して約10倍程度にまで生産能力を高めたということです。
法人向けとして「燻蒸タイプ」も発売しています。置き型商品に比べて二酸化塩素の濃度が高く、15㎡の空間であれば30分~1時間くらいで除菌ができるとのこと!無人空間で使用する用途に向いています。
大幸薬品への投資について
2月12日に大幸薬品は2020年12月期の決算を発表。2020年12月期の連結経常利益は54.5億円になり、2021年12月期は44億円の見通しとなると予想。
次期の利益が落ちる理由としては、京都工場の医薬品生産の伴う固定費の増加なので気にする必要はないかと思っております。
ただ直近の3カ月の実績を見てみると、連結経常利益は同期比に比べて38.7%減の13.4億円に落ち込み、売上営業利益率も前年同期比で39.0%→21.3%にまで低下。
クレベリン需要を考慮しても、これは残念な結果ですね。実際に株価にもネガティブな影響が出ており、PTSでは「−10.16%」の下落。
ワクチンの開発が進み、世界的に新型コロナウィルスの感染者数が減少傾向にあるのも売り圧力を高めているかもしれません。
ただ会社としては、いきなりクレベリンの売上が減少される予想ではなさそうです。当分の間は「感染対策」「衛生管理」の意識は続くものと考えられるためでしょう。
今回の売上実績は140億円でしたが、次期売り上げ予想は176億円としていますからね。ちなみに、正露丸の医薬品事業の落ち込みは、外出機会の減少やインバウンド需要が減少したことによるものだそうです。
それでも「クレベリン」商品が今後も恒久的に売られ続ける保証はありません。ワクチン接種拡大とともに感染者が減少して、消費者の「感染対策」への注意や警戒心が薄れていく可能性もあります。
2020年度第二四半期の資料によれば、現状クレベリンの感染管理事業は売上高の78%を占めています。なので「クレベリン」は新型コロナウィルスの影響で需要が大きく変動するので、クレベリンだけ頼っていては先行き不透明です。
直近、CMなどの広告宣伝費は主に「クレベリン」関連に費やしてきました。今後は「正露丸」の利用顧客を増やしていくことで業績拡大を狙っていくとしています。
そして国内シェアにとどまらず、中国や台湾など新規市場開拓にも力を入れていくそうなので、海外市場にも期待できるかもしれません。今回の実績では、海外売上は5.49億円なので上昇余地はありそうです。
ひとまず株価は売られそうですが、感染管理の意識からも「クレベリンの需要」は引き続きありそうですし、「正露丸の復興」にも期待する意味で投資していくのは良いかと思います。※投資は自己責任でお願いします!