人種差別問題と世界的な認識
知らず知らずのうちに差別をしているのかもしれません。今回はイタリアの高級ブランドであるプラダが炎上してしまいました…
最近、世界的老舗ブランドが何かとお騒がせしていますね。先日はドルチェ&ガッバーナが中国を侮辱した内容の動画で炎上し、不買運動にまで発展しました。
問題となったのは、プラダのキャラクターで「プラダマリア」シリーズの商品。お猿さんのような風貌で、真っ赤な大きい唇が特徴です。
このお猿さんに似ているキャラクターが黒人に対しての人種差別に当たるとして、ニューヨークの黒人女性が不買運動をSNSで呼びかけたところから炎上してしました。
キャラクターの顔面が黒くて、舞台用メイクで顔を黒く塗る行為、黒塗りメイク=ブラックフェイスを彷彿させるとのことです。
Twitterでの反応は様々で、黒人を差別したキャラクターであるという意見もあれば、プラダを擁護するものまで賛否両論でした。
差別であると肯定する意見の中には、お猿さんの黒い顔面と赤い唇のキャラが、歴史的に揶揄しているのではないかというツイートがありました。
確かに、右側の黒人と今回取り上げられているキャラクターは赤い大きな唇という点で特徴を掴んでいるように見えますね。
投稿から察するに、プラダ側が「歴史的に知らなかった」では済まされないのでは…という意味が込められているように感じました。
プラダを擁護するツイートの中には、プラダが赤色の唇以外の色も展開している点について触れていました。
今回、クローズアップされている赤い唇のお猿さんばかりが注目を集めていますが、どうやらプラダは他の色の唇をしたお猿さんのキャラクターもバリエーション展開しているんですね。
あくまでカラーバリエーションの1種類であり、差別意識はなかったのではないかというTwitterもありました。もし、緑色の唇のお猿さんだけの商品展開でしたら問題になっていなかったのでしょうか?
ここで把握しておきたい歴史的な事情があり、「ブラックフェイス」は欧米諸国で完全なるタブーで深刻な人種差別案件ということです。日本では過去にも「ブラックフェイス」で問題がありました。
過去のブラックフェイス問題
例えば、昨年大晦日「ダウンタウンガキの使いやあらへんで!」の人気コーナー「絶対に笑ってはいけない」でも、「ブラックフェイス」が問題となりました。
NYタイムズなど海外のニュースでも取り上げれられ、反応としては、ブラックフェイスについてもっと理解して欲しかったとのこと。
確かに、日本人は「黒人差別」について歴史的に知識が乏しいかもしれません。強く理解できていない部分があるかもしれません。
現に、番組の製作スタッフや出演者も差別感情がなかったからこそ、番組を地上波で流すまでストップをかけることはなかったと思います。
とはいえ人種差別だけでなく、パワハラやいじめでも同じことが言えるかと思いますが、気分を害したと受け取った側が判断するのであれば、「差別」が成立します。
人種差別はとても難しい問題です。差別意識がなかったとしても、受け取り側への配慮を怠ってしまうと、SNSで炎上し、拡散しかねません。ドルガバのように、速やかに火消しをしなければ、不買運動にまで発展してしまいます。
プラダの対応と今後の課題
プラダは声明を発表したうえで謝罪し、問題とされているお猿さんの商品を撤去しましたが、今回の騒動は落ち着くのでしょうか?
これらは想像上の生き物であり、現実世界の何かを指している意図はない。まして黒人を描写したものではない
断定はできませんが、プラダ側としては、複数あるカラーバリエーションの1種類であり、意図的な差別意識はとくになかったのではないかと思います。
ですが、差別意識があったかどうかが問題ではなくて、嫌な思いをした方や人種差別と捉えた方が現れてしまった以上、企業として対応をしなければなりません。
また、ドルガバの中国人侮辱問題や、過去に「H&M」が黒人の少年に「ジャングルの中で最もクールなサル」と書かれたパーカーを着せた写真で炎上したことがある訳です。
このような教訓をケーススタディとして「人種差別」への神経をとがらせたうえで、新商品の開発を進める必要はあったかと思います。
「もしこの新商品を世の中に出したら、どのような反響が出るだろうか。」という点に対して、社内でアンケート調査を実施するなど、危機管理能力を徹底させるべきではないでしょうか。
全世界でブランド展開するプラダですから、世界の各地域から情報を取り入れることができれば、今回の問題も未然に防げていたのかもしれません。
他社ブランドが凄まじい炎上を受けている中、「人の振り見て我が振り直せ」を実行するかどうかで、結果としては会社を守ることに繋がります。
ただ、縛りや制限が厳しくなると、オリジナリティや芸術性において自由な発想や商品展開が困難になってくることもあります。
相手を傷つけない商品展開、芸術性を追求するだけでなく、世間への配慮を想定しながらブランド力を高めていく、そのようなバランスが課題になるのかもしれません。
世界的にSNSで繋がっているからこそ、「グローバル」な視点から人種差別への対策と配慮は必要な時代です。老舗の高級ブランドであるからこそ、世界のお手本となるような姿勢を見せて欲しいですね。