下落相場では、キャッシュポジションが大切
2018年の証券業界で最も大きなイベントはソフトバンクIPOでした。しかし、1500円で公募価格が決まり、上場時の株価は大暴落を迎えたことからも、買いに対する活気のなさから2019年は株式市場にとって暗黒時代となりそうです。
マーケット環境はとても悪く、絶好調であったアメリカでさえ、利上げのペースを落とすとしている点や時価総額トップクラスのアップルが下方修正発表した点からも、世界的に経済の冷え込みが見て取れます。
こんな株式状況で、どのようにして生き残りをかけたら良いのでしょうか。突然くるショックに備えて、こまめなキャッシュポジションが戦略のカギになってくると考えます。
景気が良いときは順張りで勝算はありますが、弱気な時は余力を残しておき、下落の際にしっかり買い支えられるように、常に動ける状況を確保しなければなりません。
全力での勝負は絶対に危険ですのでお勧めしません。
そして、なによりも重要なのは世界情勢の先読みです。そのためには、今後どのようなイベントが待ち構えているのか、頭の隅に置いておく必要があります。
米中貿易戦争は避けられない問題
アメリカにとって貿易赤字解消は表面上の事柄に過ぎず、本来の目的は中国が推進している「中国製造2025」計画の見直しと廃止です。
アメリカにとって非常に脅威となるこの産業政策、世界のリーダーとして君臨してきた米国が中国へと転換する可能性すらあります。
そのような観点からも、今回の米国の姿勢は、けん制でもなければ威嚇でもなく、本気で中国の進撃を阻止しにかかると考えられます。米国としても、ここで中国を押さえつけておきたい自負があります。
そのために米国が中国に仕掛けた貿易戦争は、Huaweiの幹部逮捕問題からも、 ハイテク産業における覇権争いを繰り広げた点が明るみとなりました。
欧米諸国では、Huawei製品の排除を、中国ではApple製品の締め出しを、各々が分離して進みます。もはやテクノロジー戦争なのです。
アメリカを選ぶのか、中国を選ぶのか。踏み絵を与えられ、世界がどちらかの国についていき分離してする時代が到来するかもしれません。
落としどころを探る展開というよりも、完全に打ち負かす勢いで激しく攻め立てる事態が推測され、恐らく日経平均株価も為替も乱高下する流れでしょう。
トランプ大統領の発言や今後の米中展開に目が離せないのですが、世界情勢に大きく影響を及ぼすであろう目安となる月があります。
世界情勢が荒れる審判の日
米中の貿易戦争が棚上げとされていますが、2月末に90日間ルールが外されますので、2月初旬から中旬にかけてマーケットは米中の対立がどのような展開に進むのかを見守る期間となります。
世界が切り離されて分離していく状況「デカップリング(切り離し)」は、Huaweiだけの問題にとどまらず、他の分野や産業にも影響しそうです。
アメリカの政局も大きく荒れます。温厚でトランプ大統領の歯止め役を担ってきたマティス国防長官が前倒しで退任し、良い材料の話はあまり見えてきません。
マーケットは敏感に反応しますが、最近ではアメリカ株の上昇や円安に振れた為替が好感され直近の日経平均株価は着実に上昇してチャートも上向きに推移しております。
しかし、忘れてはいけないのが
下がり続ける株はないと同時に、上がり続ける株はない
12月25日からの不自然な一方通行な上昇は、今後大きく下落させるための高さある踏み台づくりにも見えてしまうのです。下落が大きければ、空売りを仕掛ける機関は大きく稼ぎますからね。要注意です。
常に各月のイベントを大まかに先読みをし、キャッシュポジションをこまめに行うことで、○○ショックを「チャンス」に切り替えて底近辺で買い進めていく姿勢が、今年の勝利へと繋がるのではないでしょうか。