「鬼滅の刃」風ポスターは著作権侵害にあたるの?
あの大人気作品「鬼滅の刃」に非常によく似た選挙ポスターが「維新の会」から出てしまいました。物議を醸しているのは、尼崎市議会の光本けいすけ議員のポスターです。どこかで見たことある市松模様にロゴデザイン、有名な台詞・・・
とくに、「心を燃やせ」は漫画や興行収入1位となった「鬼滅の刃・無限列車編」に登場する人気キャラ「煉獄杏樹郎」の有名な台詞ですね。かなりグレーな気がしますが、これらのポスターは著作権侵害に抵触するのでしょうか?
集英社への問合せ回答によると、「公式に貸し出すのは控えているけど、パロディなど非公式の利用であればとくに問題はない」とのこと。なので、これもパロディの範疇でしょうから、著作権侵害にはあたらないでしょう。
また、「全集中」や「心を燃やせ」などの短い台詞に関しても、普段から作品と関係なく使用する人もいることから、とくに集英社が許諾する・しないを決める立場でもないため、そのフレーズを使用することは問題ないそうな。
ただ、あまり酷いパクリや長文の台詞のコピーであれば権利侵害で訴えられることもあるので注意が必要です。であれば、こちらの選挙ポスターもパロディっぽいので問題はなさそうですね。
これくらいのちょっぴりしたパロディであれば、もしかしたら炎上しなかったかもしれませんね。どのラインまでがOKでどこまでがNGか、判断は各々で難しいかもしれませんが、炎上したのは他にも要因があるようです。
SNSの反響
SNSやネットの方では「完全にパクリ」「謝罪内容が納得いかない」「対応が腑に落ちない」などの批判が強く物議を醸しています。それぞれ見ていきましょう。
そもそも、集英社から許可を得ていたのに、なぜ全て張り替えるの?って声もありました。確かに許可をもらっているのであれば、回収せずとも堂々と貼っておけば良いものを・・・と言う見方もありますね。
ポスター張り替える理由にあたり、「様々なご指摘を受けましたことと紙質が印刷会社の手違いで指定と異なるものが入荷されたことにより、別デザインによる再発注をかけることと致しました」の回答ですね。
光本議員の「学生からの提案」「紙質の件」などの発言が、言い訳のように聞こえてしまい、さらに批判の的になっているように感じます。
どうせなら、これはパロディです!って開き直った方が収束も早かったように思うんですけどね。別に集英社も「訴える!」とか、そこまで言ってないものですから。さて、光本議員は集英社に確認されたのでしょうか?
集英社への確認や使用許可は?
光本議員曰く、「市松模様、政党ロゴのデザイン、心を燃やせの台詞など集英社の知的財産課に相談した上で作成した」としています。党のイメージカラーの「緑」も似ていることからデザイン利用に至ったと。
集英社側も「鬼滅の刃」承諾などの件で多数の問い合わせが連日きていることから、このポスターの問い合わせ状況について把握が間に合っていないそうですのです。
基本的にアニメなどの作品が政治とコラボすることはないはずです。「政治」は様々な主義主張があることから、著作権をもつアニメやキャラクターなどの作品が 特定の政党や政治的主張を応援・支援することはないからです。
現に、週刊少年ジャンプ編集部がTwitterで、「一切の関与をしておりません」と発言していることからも公式としては支援したつもりなはいのです。あくまで「市松模様」「短い台詞」などパロディの範疇であればという話だったのではないでしょうか。
おそらく光本さん側が問い合わせされたのは事実なのでしょう。ただ、直接ポスターを確認した訳ではなさそうですから、電話での口頭による確認程度で、集英社としては「パロディ程度」の利用という認識だったのではないでしょうか。
政党ロゴのデザインがあまりに鬼滅の刃を連想させること、市松模様や短い台詞など単体のパーツを組み合わせたことにより、より丸パクリぽくなってしまったことが問題の発端となった要因かもしれません。
「鬼滅の刃」の政治利用?
指摘されたタイミングもちょうど悪かったですね。先月の23日、コスプレ著作権ルール化など法整備に政府が乗り出そうとしているというニュースがありました。
作品の権利者を守るために二次創作における著作権侵害の意識が強まっている風潮です。 政府が、二次創作における法整備を進めようとしている中、日本維新の会は逆行する動きに捉えられてしまった訳ですね。
そんな矢先に、このような「鬼滅の刃」風ポスターを政治ロゴのデザインに使用した話が出てしまったのですね。仮に集英社から許可を貰おうとも、鬼滅の刃を政治利用したと思われてもしょうがないですし、炎上しそうな案件だったのでしょう。
気になるのは、「日本維新の会」の議員さん方は、誰もこの「パクリ」ポスターを疑問視しなかったのかという点。この件に関しては、日本維新の会の広報担当者は、「兵庫県か光本氏が制作したものであり、違法性がないものでと申し伝えている。党は関知していない」とのこと。
でも、「関知していないこと」が問題ですし、そのポスターには現知事の顔も登場する訳ですから、ご自身の党に所属する議員さんの広告ポスターくらい把握された方が良いかなと。
吉村知事は元弁護士なので、この件を知っていたら防げたかもしれません。毎日、コロナ対策に立ち向かって一生懸命頑張っているので、党内の議員が足を引っ張らないようにして欲しいものです。
このポスターが炎上したということは、間違いなく不愉快に感じた方々がいると言う事をお忘れなく。それにより党のイメージが下がるのは悲しいですよね・・・
この経験を活かしたリスクマネジメント、今後は党員のポスターをしっかりチェックして、炎上しそうな内容であれば表に出る前に未然に防ぐなど、対策をしっかり改善したいところですね!
閲覧ありがとうございました!