NTTドコモから、新料金プランahamoが登場しました。従来の料金プランについてどのような衝撃を与えたのでしょうか。KDDIやソフトバンクが窮地に立たされている理由とは?通信業界の株価への影響は?それぞれ見てみましょう。
20GBのデータ量で月額2980円ってすごいの?各キャリアとの比較
2021年3月にアハモの料金プランが始まります。月額2980円!と言っても格安スマホ料金プランについては既に存在しておりCMでもお馴染みなのでとくにすごいことではありません。しかし、メインブランドで新料金プラン「ahamo」を提案したNTTドコモは大手キャリア業界に衝撃を与えました。
実はKDDIやソフトバンクも20GBのデータ容量で月額2980円プランを予定していますが、UQモバイルやヤフーモバイルといったサブブランドです。また、ahamoは5分間の国内通話が何回でも無料としています。
ただahamoにおいて、サービス内容が従来の料金プラン内容とは異なる部分があるためNTTドコモの従来の料金プランと同じ枠組みとも言えず、サブブランドに近い存在なんですよね。
なので本来NTTドコモからの移行はMNP扱いとなってしまうのですが、なんとahamoへの移行にかかる事務手数料などは一切無料。この点がサブブランドのイメージを払拭できてソフトバンクやKDDIに差をつけた大きな違いと言えるでしょう。
KDDIを例に挙げると、MNP転出手数料1万5500円が発生してしまいます。内訳としては契約解除料金9500円、新規事務手数料3000円、MNP転出手数料3000円。※2019年の電気通信事業法の改正より、解約金は1000円以下に値下げされているが、それ以前に契約しているユーザーは対象外。
つまり、KDDIからサブブランドへの移行するためには、手数料1万5500円が発生してしまうので、菅政権の目玉政策である「スマホ料金値下げ」の推進が滞るとして武田総務大臣は「がっかりした」と不満そうです。
なぜ、ソフトバンクやKDDIはメインブランドで展開できないの?
結論から言うと、メインブランドで展開できないこともないけど、セカンドブランドの動きを鑑みても今は何かアクションを取るのが難しいといったところでしょうか。
沿革から説明していきますと、KDDIと合併したUQモバイルはもともと別会社でしたし、ソフトバンクと合併しているワイモバイルも以前はウィルコムでした。
KDDIグループやソフトバンクグループ内で分裂した訳ではないので、このような背景からも、サブブランドへの移行に事務手数料が発生してしまうメカニズムは納得する部分もあります。
さらに年内にはワイモバイルが新料金プランを開始、UQモバイルも2021年2月より開始のため、今さらメインブランドで新料金プランを作るのも難しく動きようがないということです。とか言っているうちに、2021年3月にはahamo開始ですから、これではNTTドコモの方が優位ですよね。
他にもセカンドブランドに対しての障害があります。そもそも、メインブランドで展開することが良いことなのかと言われると賛否両論で意見が分かれてしまうようです。
新料金プランをahamoのようにメインブランド内の料金プランとして統一してしまうことで、ユーザーは面倒な手続きがなくなりますし事務手数料という壁もなくなり移行が楽になりますが…セカンドブランドの立場ではどうでしょうか?
ahamoが与える通信業界への影響は?懸念とは?
そもそもメインブランドで格安料金プランを作ることは通信業界にとってかなりマイナスの話であります。端的にいえば、楽天モバイル、UQモバイル、ワイモバイルの存在意義が薄れてしまうんですよね。
もしauの新料金プランでUQモバイルと同じ料金プランが提供されるとしたら、わざわざUQモバイルに乗り換えなくても良いですし、ソフトバンクが同じようなことを始めたら、格安スマホの料金プランの魅力がなくなります。
docomo、au、ソフトバンクの大手キャリアと格安スマホは上手に棲み分けができている状態でしたから、そういう意味でもNTTドコモが手掛けたahamoは他社に対しての強烈な宣戦布告な訳ですね。
KDDIやソフトバンクは移行をスムーズにする対策をとったり、UQモバイルやワイモバイルの面倒も見るかもしれませんが、楽天モバイルなんて、格安スマホのイメージが強かっただけに大変でしょう。今から3大キャリアの仲間入りも難しいでしょうからね。
他にもLINEモバイルやTモバイルなど、通信市場を狙っている企業は多かったので、大手企業がメインブランドで格安スマホに乗り込むのは悲鳴ものです。格安SIMを扱う企業も需要激減でしょう。
今後、他社がどのような展開を示していくのか要注目ですね。個人的には楽天モバイルが顧客獲得のためにどのような動きを見せてくれるのかとても楽しみです。